相続に関わる税金対策について

相続税について相続税についてよく理解し、損のない相続を実現しましょう

弁護士奈良 洋
<監修者> 協力税理士 奈良 洋
税制は毎年のようにめまぐるしく変わります。改正点をお客様にわかりやすくお伝えするとともに、どのように対応していくのか、依頼者様の意向に沿ったご提案をしていきたいと考えています。

相続税とは

相続税は、ある人(被相続人)が死亡した際にその人の財産を引き継いだ場合、遺言によって財産を得た場合、財産を承継した人に課税される税金のことです。

納税すべき人(納税義務者 相続税法1条の3)

相続及び遺贈によって財産を得た者

相続税法上の法定相続人

民法上の法定相続人は、「相続により財産を取得する者」という概念で決められていますが、相続税法上の相続人は、課税の公平を図る観点から、民法上の法定相続人に加えて「税額を計算するために必要な相続人」も含まれます。具体的には、以下のような違いがあります。

  民法 相続税法
相続放棄をした人 相続人でなくなる(民法939条) 相続放棄がなかったものとして、相続人数を計算する
養子 何人いても相続人となる(民法887条1号) 実子あり―養子のうち1人が相続人
実子なし―養子のうち2人が相続人
(相続税法15条2号)

相続税が課税される財産とは

被相続人本来の財産

被相続人が所有していた財産で、経済的価値のあるすべての財産のことです。具体的には、預貯金、不動産等です。但し、一定の場合、債務(借金等)は、控除できます。

みなし相続財産

民法上は相続財産には該当しませんが、税法上は相続財産として扱われるものがあります。具体的には、死亡保険金(被相続人が保険料を負担していた場合)、死亡退職金等です。

相続開始前3年以内に贈与された財産(暦年課税贈与税の場合)

相続開始(一般的には被相続人の死亡した日)前3年以内に、被相続人から贈与された財産は、相続財産に加えて計算されます。

2024(令和6)年1月以後の贈与から、生前贈与の加算対象期間が7年以内まで拡大され、相続開始4年~7年前の期間の受贈財産総額から100万円を控除した残額が相続財産価格に加算されることになります。

相続時精算課税制度を利用し贈与された財産

相続時精算課税制度については、贈与税内の相続時精算課税制度で詳しく説明します。

相続税が課税されない財産とは

非課税財産 相続税法12条

非課税財産 相続税法12条には下記のようなものが列挙されています。

祭祀関係

墓碑、墓地、仏壇仏具、神棚等日常礼拝の対象となっているものです。

寄付金

国、地方公共団体、特定の公益法人及び非営利活動法人へ寄付した財産等です。

公益事業用の財産

宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う人で一定の要件に該当する人が取得したもので、その公益のために使うことが確実なものです。

心身障害受給金関係

心身障害共済制度に基づく給付金の受給権です。

生命保険金・死亡退職金の一部

相続人が受け取った生命保険金・死亡退職金のうち、「500万円×相続税法上の法定相続人の人数」の金額です。

債務 相続税法14条

被相続人死亡時に存在した債務(借金、未払いの税金等)で確実と認められるものに限ります。但し、非課税財産についての債務(生前に購入した墓地・仏壇の代金等)は、原則として控除できません(相続税法13条3号)。

相続税の税額控除とは

相続税の基礎控除

「3000万円+600万円×法定相続人数」で算出される金額より相続資産が下回る場合、相続税を支払う必要はありません。支払う場合は下記税控除を受けることができます。

例えば、夫が亡くなり、法定相続人が妻(配偶者)と子供2人の場合の基礎控除額は、
3000万円+600万円×3人=4800万円 となります。

相続税の控除

相続税には7つの控除があります。

暦年課税適用分贈与税額控除 相続開始前3年以内に、暦年課税を適用し贈与を受けた際に収めた贈与税額を控除します(相続税法19条)。 ※2024(令和6)年1月以降、順次7年に拡大されます。
暦年贈与とは
配偶者の税額軽減額 配偶者が実際に取得した財産が、法定相続分を超えないか、超えても課税価格ベースで1億6000万円以下であれば、相続税を納める必要はありません(相続税法19条の2)。
未成年者控除 相続人が未成年の場合、その人の相続税額から6万円にその人が20歳に達するまでの年数(1年未満切り上げ)を乗じて算出した金額が控除されます(2010(平成22)年相続税法 相続税法19条の3)。
障害者控除 障害をお持ちの方が相続人の場合、その人の相続税額から6万円(一定の場合には12万円)にその人が70歳に達するまでの年数(1年未満切り上げ)を乗じて算出した金額が控除されます(相続税法19条の4)。
相次相続控除 10年以内に複数回の相続が起きた場合、2回目以降の相続では、一定の金額により計算された金額が控除されます(相続税法20条)。
外国税額控除 外国にある財産を相続し、その国において相続税を納めた場合、一定の金額を限度として納めた金額を相続税額から控除します(相続税法20条の2)。
精算課税適用分贈与税額控除 相続時精算課税制度を利用した場合、生前の贈与時に支払った贈与税額を控除します(相続税法21条の15、16)。

相続財産の評価方法

相続財産の評価は、原則、相続開始時の時価で決まります(相続税法22条)。ただ、時価の客観的な評価は難しいので、課税の公平性確保のため、国税庁は評価基準の指針を「財産評価基本通達」として定めています。

相続税の申告

相続開始を知った日(一般的には被相続人が死亡した日)から10ヶ月以内に、被相続人が亡くなった時の住所地を所轄する税務署に、申告書を提出しなければなりません(相続税法27条)。

本ページの内容は、2023年7月時点の法令をもとに作成しています。

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