用語集

遺言(いごん)

遺言者の死後の法律関係を定める遺言者の意思表示のこと。民法上、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つが規定されている。
遺言者の生前は何らの効力は生じず、民法の規定する方式に違反した遺言は無効である。また、複数の遺言が存在する場合、最新の作成日付の遺言が優先する。

遺言執行者(いごんしっこうしゃ)

遺言の内容を実現する者のこと。被相続人が遺言により遺言執行者を選任することができる。遺言で遺言執行者が選任されていないとき又は遺言執行者が欠けたときは、利害関係人の申立てにより家庭裁判所が選任することができる。弁護士・司法書士等が就任することが多い。

遺言書の検認(いごんしょのけんにん)

後の改竄等を防止するために、遺言書を家庭裁判所で開封し、遺言の現状を保全する手続きのこと。公正証書遺言以外の遺言は、家庭裁判所において検認を受ける必要がある。なお、この検認手続内で、遺言書の有効無効の判断はなされない。

遺言事項(いごんじこう)

法律上遺言としての効力が認められている事項のこと。遺言事項以外を遺言しても法的効力は生じない。 遺言事項には、(1)遺言でのみできる行為(未成年後見人等の指定、相続分の指定(同委託)など)(2)遺言によっても生前でもできる行為(遺贈、認知など)がある。
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遺言能力(いごんのうりょく)

単独で有効な遺言をすることのできる能力のこと。遺言をするには、遺言の内容・効力を理解するだけの判断能力(意思能力)が必要であるとされている。
・未成年者・・・満15歳に達しており、かつ意思能力があれば遺言能力あり。
・成年被後見人・・・意思能力を回復しているときは、遺言能力あり。意思能力が回復したことを証明する医師2人以上の立ち会いの下、単独で遺言することが可能。

遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)

相続財産をどのように分けるかを、相続人全員で話し合うこと。相続人全員が参加しない遺産分割協議は、無効。

遺贈(いぞう)

被相続人が、遺言により財産の全部または一部を、無償で譲与すること。遺贈の効力は、被相続人の死亡時に発生。遺贈者(遺贈をする人)の意思表示だけで可能(受遺者(遺贈を受ける人)の同意は不要)。

遺留分(いりゅうぶん)

法律上、相続人が取得することを保障されている相続財産の一定の割合のこと。被相続人の生前の贈与又は遺贈等によっても奪われることはない。遺留分の保障を受ける者は、配偶者、子、直系尊属。

遺留分減殺請求権(いりゅうぶんげんさいせいきゅうけん)

遺留分を侵害された相続人が、贈与又は遺贈を受けた者に対し、侵害された限度で贈与又は遺贈された物の返還を請求することができる権利のこと。
遺留分減殺請求は、侵害された相続人が、相続開始及び減殺すべき遺贈等があったことを知った時から1年以内、もしくは、相続開始の時から10年以内に行使しなければならない。

寄与分(きよぶん)

特定の相続人が、被相続人の財産の維持または形成に特別の寄与、貢献した場合の取り分のこと。寄与が認められた場合、寄与した相続人は、自己の相続分に寄与分を上乗せして取得することになる。

限定承認(げんていしょうにん)

相続人が、相続によって得たプラスの財産の範囲でマイナスの財産を引き継ぐこと。相続の開始を知った時から3カ月以内に、相続人全員が共同で、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に限定承認を行う旨を申し出する必要がある。まず、相続財産のプラスとマイナスを精算し、プラスの財産が残ればこれを引き継ぎ、マイナスの財産が残ればこれを引き継がない。

祭祀主宰者(さいししゅさいしゃ)

祭祀財産を承継して、これを守る人のこと。慣習により定められる。

祭祀財産(さいしざいさん)

系譜(家系図)、祭具(位牌、仏具など礼拝の用に供するもの)、墓地、墓石などのこと。相続財産とはならない。

死因贈与(しいんぞうよ)

贈与者の死亡のときに効力が発生することを定めて、生前にあらかじめする贈与契約のこと。贈与者(贈与する人)の意思だけでなく、受贈者(贈与を受ける人)の同意が必要。

失踪宣告(しっそうせんこく)

一定期間以上生死不明の者について、家庭裁判所が、利害関係人の申立てにより、公示催告等の手続きを経て、法律上死亡したものと取り扱う制度。失踪宣告により相続が開始する。 失効宣告には、普通失踪と特別失踪がある。

指定相続分(していそうぞくぶん)

被相続人が、遺言により、自ら指定するか、第三者に委託して定める相続分のこと。法定相続分に優先する。遺留分を侵害して指定することはできるが、遺留分減殺請求がなされると、事後的に一部の効力が覆ることになる。 ただし、その場合、目的物の価格を支払うことによって現物返還の義務を免れることができる(価額弁償)。

消極財産(しょうきょくざいさん)

相続財産のうち、借金、保証債務などのマイナスの財産のこと。

積極財産(せっきょくざいさん)

相続財産のうち、金銭的に価値のあるいわゆる“プラス”の財産のこと。現金・預貯金、不動産、有価証券等。

相続(そうぞく)

ある人が有する権利義務を、その人の死亡をきっかけにして他の人に引き継ぐこと。その人が死亡した時点に開始する。

相続人(そうぞくにん)

被相続人の権利義務を引き継ぐ人。

相続財産(そうぞくざいさん)

相続開始時に被相続人が所有していた財産的な権利義務のこと。積極財産と消極財産がある。

相続分の譲渡(そうぞくぶんのじょうと)

各共同相続人が、遺産分割前に、自己の相続分を他人(他の相続人又は全くの第三者)に譲渡すること。譲渡した相続人は相続関係から離脱し、譲渡を受けた者は遺産分割協議に参加することができる(いわば相続人の「地位」の譲渡)。但し、消極財産については、原則、譲渡した相続人と譲渡を受けた者の双方が支払義務を負う。

相続放棄(そうぞくほうき)

相続人の行う相続を拒否する意思表示のこと。相続放棄をすると、相続開始時から相続人ではなかったことになる。各相続人が単独で行なうことができる。相続開始を知った時から3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し出る必要がある。代襲相続は起こらないので、例えば、相続人が放棄したマイナスの財産(負債等)をその子が相続するということはない

単純承認(たんじゅんしょうにん)

相続人が、被相続人の権利義務をすべて引き継ぐこと。相続人が単純承認の意思表示を行なわない場合でも、相続財産を処分したり、相続開始を知った時から3か月以内に限定承認・相続放棄等を行なわない場合などには、単純承認を行なったものとして取り扱われる。

嫡出子(ちゃくしゅつし)

法律上の婚姻関係にある男女から生まれた子及び養子となったもの。

特定遺贈(とくていいぞう)

受遺者(遺贈をうける人)に対し、特定の財産を譲渡すること。受遺者は、遺贈を承認・譲渡することが可能。

特別失踪(とくべつしっそう)

戦争、船舶の沈没、震災などの死亡の原因となる危難に遭遇し、失踪した場合。その危難が去った後生死が明らかでない状態が1年間継続した場合に、申立てを行なうことができる。特別失踪による失踪宣告がなされた場合は、危難が去った時点で、死亡したものと法律上取り扱われる。

特別受益(とくべつじゅえき)

特定の相続人が、被相続人から婚姻、養子縁組のため、もしくは生計の資本として生前贈与や遺贈を受けているときの利益のこと。特別受益が認められる場合は、相続分算定に当たって、その受益分は考慮(特別受益の持戻し)して計算される。

配偶者(はいぐうしゃ)

法律上の婚姻関係にある夫婦の一方のこと。夫にとっての妻、妻にとっての夫。常に相続人となる。

被相続人(ひそうぞくにん)

相続される人。通常は亡くなった人を指す。

非嫡出子(ひちゃくしゅつし)

法律上の婚姻関係にない男女から生まれた子。婚外子とも呼ばれる。
法定相続分は、嫡出子の半分だったが、平成25年12月の民法一部改正により、嫡出子の相続分と同等になった。
・非嫡出子に相続権があるのは認知された場合のみ。
・認知された非嫡出子がいるのにこれを含めないで行われた遺産分割協議は無効となる。
そのため、戸籍を十分に調査する必要がある。

負担付遺贈(ふたんつきいぞう)

受遺者(遺贈をうける人)に一定の義務を課することと引き換えに行なう遺贈のこと。受遺者は、遺贈の目的の価額の範囲内でのみ負担を履行する責任を負う。
受遺者が負担を履行する前でも遺贈の効力が生じるが、受遺者が義務を履行しない場合は、相続人又は遺言執行者は、相当の期間を定めて履行を催告し、履行なき場合は、負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができる。

普通失踪(ふつうしっそう)

失踪宣告のうち、通常の失踪の場合。最後に生存確認した時から起算して7年間生死不明の状態が続いた場合に申立てを行うことができる。普通失踪による失踪宣告がなされると、最後の生存確認から7年間経過した時点で死亡したものと扱われる。

包括遺贈(ほうかついぞう)

受遺者(遺贈をうける人)に対し、遺産の全部又は分数的割合を与える遺贈のこと。包括遺贈を受けた受遺者は相続人と同一の権利義務を有するものとされているため、遺贈を受けたくない場合は、相続放棄の手続きを踏む必要がある。

法定相続分(ほうていそうぞくぶん)

民法の規定により、定められている相続分のこと。

相続人 相続分
第1順位 配偶者、子 配偶者1/2、子1/2
第2順位 配偶者、直系尊属 配偶者2/3、直系尊属1/3
第3順位 配偶者、兄弟姉妹 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
直系尊属とは、被相続人の父母や祖父母を指す。親等が近い尊属が優先して相続する。
例)・被相続人の父母、祖父母が、両方生存している場合は、父母の相続権が優先する。

みなし相続財産(みなしそうぞくざいさん)

民法上相続財産には含まれないが、被相続人の死亡を原因として相続人のものになった財産のこと。相続財産に含まれないので遺産分割の対象にはならないが、税法上は相続財産に含めて計算する(相続税の課税対象となる)。代表的なものは、死亡保険金、死亡退職金。