遺産分割

不動産の相続問題不動産の相続で問題となるポイントについて解説します

不動産が絡む相続は複雑です。

例えば・・・

  • 遺産が不動産しかないが、不動産が分けられない
  • 遺産である不動産に住んでいる相続人から不動産の売却も代償金の支払いも拒絶された
  • 遺産である不動産の評価額に疑義がある
  • 共有物分割請求で不動産相続問題を解決したい
  • 不動産しか遺産がない場合でも遺留分侵害額請求で遺留分相当の金銭を得たい

上記のような争点があり、不動産が遺産となっている相続問題は揉めることが多くあります。不動産は価値が高い場合が多く、預金とは違って分けることが難しい財産です。相続人の中には、売ってお金に変えたいと考える相続人と不動産を残したいと考える相続人がいて、話し合いをまとめるのが難しいケースもあります。

相続において不動産が問題となるケース

不動産を売りたい人と守りたい人の争い

不動産を売りたい人と守りたい人の争いは、遺産分割協議や調停でまとまらない場合、相続における手続きとしては解決できないことになります。その場合、遺産分割としては共有名義の不動産となることで終了し、その後は共有物分割請求訴訟という別の手続きによって分割を目指すことになります。

共有物分割請求では、競売で不動産を処分して代金を分けることが命じられるケースがあります。競売は、不動産を取得した人が他の共有者に代償金を払う代償分割や、不動産を現物で分ける現物分割ができない時にとられる分割方法です。ただ、競売によって売却した場合、その代金は不動産を任意で売買したときの金額より低くなってしまうことが一般的です。

そこで、不動産を売りたい人からすると、遺産分割において任意売却ができないと、共有物分割請求訴訟にすすみ、最終的には競売によって低い売却代金を分けることとなり全員が損をすると主張して、不動産を残したいと考えている相続人に対し、代償金を支払うよう、あるいは任意売却に応じるよう促すことが考えられます。

遺産共有と共有物分割請求

遺産共有とは

不動産を相続するケースで、相続人が複数人いて、遺言書が作成されておらず遺産分割協議も成立していない場合、遺産である不動産を複数人で共有していることになります。この場合の共有のことを、遺産共有といいます。

遺産共有においては、原則として共有物分割請求できない

遺産分割協議が成立していない状態では、原則として共有物分割請求はできません。まず遺産分割協議を先に行うべきと考えられるからです。遺産共有において、遺産分割協議が成立していなくても法定相続分の割合に応じた相続登記ができますが、遺産分割協議が成立していないので、共有物分割請求はできません。

遺産共有において、共有物分割請求ができるケース

上記と異なり、不動産についての持ち分すべてが遺産共有ではない場合には、共有関係の解消を図る方法として共有物分割請求(訴訟)が可能と考えられています。たとえば、兄弟が生前ある不動産を共有しており、その不動産については共有物分割請求できる状態だったという場合です。兄が亡くなり、兄の妻と子供が相続人になったとします。その際、遺産分割協議が成立していなければ、兄の持ち分について、妻と子供は遺産共有していることとなります。

この場合は、遺産共有の持分と他の共有持分が併存しているため、共有物分割請求ができると解釈されています。請求できる主体には、もともと不動産を共有していた弟だけでなく、遺産共有している妻と子供も含まれると解釈されています。

不動産登記の名義と購入者のずれ

不動産登記の名義が被相続人(亡くなった方)で、不動産の購入者が相続人(例えば、亡くなった方の子供)である場合、その不動産は相続の対象となるでしょうか。法律上は、形式的な名義よりも実質的にみて誰に帰属する不動産か、という観点から、お金を実際に出して購入した人が所有者であると考えられます。ただ、購入者がお金を出した事実を証明できないと、そのまま名義人の所有するモノとされる場合が多いでしょう。

評価額でモメる

相続においては、不動産の評価基準として、実勢価格(時価)相続税評価額(路線価)がよく登場します。時価は不動産市場で売り買いされる値段ですが、路線価は国税庁が毎年公表する主に市街地における宅地の評価額です。相続税の計算、すなわち納税の場面では土地は路線価により評価されますが、遺産分割においては実勢価格で評価することが一般的です。ただし、不動産の種類(宅地、戸建て建物、マンション等)によって評価方法は変わりうるため、遺産分割の場面でも不動産の種類や特徴にあった評価方法を用いるべきです。

次に、いつの時点における評価をすべきかについてですが、相続税の計算は、相続開始時(被相続人の死亡日)の評価が基準になります。一方、遺産分割においては、相続開始時ではなく、遺産分割時の実勢価格で評価されることが一般的といえます。ただ、遺産分割の協議・調停は、相続人全員の同意によって成立しますので、財産の評価についても相続人全員が納得すればよく、このように評価しなければいけないというものではありません。それぞれの評価方法に従って評価された額を目安として遺産分割協議や調停の中で話し合って決定します。

不動産を分ける方法

現物分割

現物分割とは、遺産分割の方法の1つで、たとえば複数ある相続財産を現物のまま各相続人がそれぞれ取得する方法をいいます。一つ一つの財産について取得者を決めるという最も分かりやすい形態で、遺産分割の多くが現物分割によって行われています。

また、一つの相続財産を複数に分割する場合も現物分割と呼ぶことがあります。たとえば不動産の場合、1つの土地を「分筆」して登記上複数の土地にし、各相続人が1筆ずつ相続する形態をいいます。

代償分割

代償分割とは、特定の相続人が財産を相続する代わりに、他の相続人に持分相当額の金銭を支払うなどして過不足を調整する分割方法です。代償金の金額は相続人の協議で決定することができます。代償金をもらう側からすれば法定相続分に相当する金額を請求することになりますが、換価しにくい不動産をもらう、あるいは協議がこじれた結果競売になり金額が大きく下がるよりも、多少金額が低くても現時点で現金でもらえた方がよいと考えれば、法定相続分よりも低い金額で合意することも合理的といえます。

換価分割

換価分割とは、不動産などの相続財産を売却して現金化し、その現金を相続人で分割する方法をいいます。現物分割が不可能又は適当ではなく、さらに代償金の支払能力がある相続人がいないために代償分割もできない場合などに、この分割方法が選択されます。

上記のように、不動産にまつわる相続は複雑化しますし、十分な知識がない場合、判断する基準がわからず損をしてしまうことがあります。実績のある不動産問題に強い弁護士に、相続問題についてもご相談いただくことをお薦めします。

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代表弁護士 中原俊明 (東京弁護士会所属)
  • 1954年 東京都出身
  • 1978年 中央大学法学部卒業
  • 1987年 弁護士登録(登録番号:20255)
  • 2008年 法律事務所ホームワン開所

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