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遺産相続で起こるトラブルの具体例とトラブルを避けるための5つの対策

代表弁護士山田 冬樹
<監修者> 代表弁護士 山田 冬樹
依頼者が「やってほしいこと」と、弁護士が「できること」をすり合わせ、依頼者の納得を得ながら、現実的にできる最大限の成果を目指し、最終的に「この人に頼んでよかった」と思われるように努めています。

遺産相続の場面では、それまで仲が良かった家族の間であっても、様々なトラブルが発生します。ここでは、実際に起きたトラブルの具体例や、そのようなトラブルを未然に防ぐための対策について紹介します。

遺産相続のトラブルで起きやすい事例

不動産をめぐって起こるトラブル

不動産が1つの場合、現実に分けることができないため、相続人の中に、建物に住み続けたい、売ってお金を分け合いたいという異なる意向を持つ人がいる場合は、どのように遺産分割するかについてトラブルになりやすいです。
不動産が1つしかない場合は「現物分割」はできない場合が多いため、売却してお金を分け合う「換価分割」、1人が単独で取得して他の相続人にお金を支払う「代償分割」、相続人全員で共有する「共有分割」のいずれかの方法を取ることになります。

不動産の相続問題

寄与分をめぐって起こるトラブル

長男が認知症の親の介護や財産管理をしてきたのに対し、二男は全く無関心だったケースでは、法定相続分で相続するとした場合、長男は二男と同じ割合でしか遺産をもらえないのは納得がいかないでしょう。この場合、長男は、寄与分を考慮すれば自分の方が多く遺産をもらえるはずだと主張することがあります。
寄与分とは、介護等によって生前の被相続人の財産の維持・増加に貢献した度合いをいいます。もっとも、寄与分を主張する場合は、実際にどの程度の貢献があったのかを巡ってトラブルになりやすいといえます。

寄与分とは

遺言書をめぐって起こるトラブル

例えば、生前の被相続人と長男の関係が悪かった場合、遺言書に「二男に全財産を相続させる」と記載されている場合があります。このような場合、長男の遺留分が侵害されることになるため、長男と二男との間でトラブルになることが多いです。
また、遺言が有効とされるためには法律の要件を満たさなければなりませんが、被相続人が弁護士に依頼せず自分で遺言を作ったことで法律の要件を満たさず遺言が無効になる場合があり、相続人間でトラブルになることがあります。

遺言書がある場合等の遺留分侵害額の請求

想定外の相続人・受遺者がいる場合に起こるトラブル

被相続人に、前妻との間の子供がいた場合や、遺言書に法定相続人ではない第三者に財産を譲る旨記載されていた場合のように、想定外の相続人・受遺者が現れるケースがあります。そういったケースでは、他の相続人と前妻との子供や第三者との間に交流がないことが多いことから、遺産分割に関する話し合いがまとまらないことが多いです。
また、住所や連絡先が分からないことも多いため、弁護士に依頼して住居所調査を行う必要がある場合もあります。

遺産を独占している相続人がいる場合に起こるトラブル

未だに古い時代の考えを持っており「長男だから」などという理由で遺産を独占する相続人がいるケースがあります。
このケースでは、そのような相続人の主張が認められないのは明らかであるにもかかわらず、当該相続人が頑固で話し合いができないことが多いため、調停や訴訟をせざるを得ない可能性が高いです。
また、当該相続人が遺産であった預金や現金を使い込んでしまって手元にないという場合は、裁判をしても現実にお金を回収できる可能性が低くなります。

強硬に主張する相続人がいる場合に起こるトラブル

相続人の中に、自分の利益を増やすことだけを考えて法的に無理筋な主張も強引に押し通そうとする人がいる場合、遺産分割協議はあくまでも相続人全員の「合意」がなければ成立しないので、遺産分割協議がまとまらない可能性が高くなります。
遺産分割協議がまとまらないまま何年も経過するといったことも珍しくありませんので、協議がまとまらない場合は、速やかに調停や訴訟といった裁判に移行すべきです。

遺産分割協議がまとまらない

遺産相続のトラブルを避ける5つの対策

財産目録を作成しておく

遺産分割協議を行なう際の出発点は、遺産がどの程度あるのかを調査することです。そこで、被相続人が亡くなった場合に備えて財産目録を作成しておくと、相続人が財産調査を行なう手間が省けて手続きが非常にスムーズに進みやすくなります。

財産目録には、不動産や預貯金、株式などご自身が保有している財産を全て記載します。借金がある場合には、マイナスの財産として財産目録に記載すべきです。
また、不動産であれば法務局で全部事項証明書を取得し、預貯金であれば通帳の金融機関名、支店名、口座番号が記載されているページをコピーして財産目録にホチキス留めしておくと分かりやすいです。その他の財産についても、その財産の存在を示す資料を財産目録に添付しておくと、相続人が調査しやすくなります。

法定相続人が誰か何人いるかを確認しておく

遺産分割協議は相続人全員で行なう必要がありますので、そもそも相続人が誰で何人いるのかや連絡先を調査しなければなりません。
そこで、あらかじめ被相続人の相続人が誰であるかを確認するため、必要な戸籍を取得して相続関係図を作成しておくと手続きをスムーズに進めやすくなります。

ただし、誰が相続人になるのかという点は法的知識が必要になるため、相続関係図を正確に作るに当たっては、弁護士に相談されることをお勧めします。

法定相続分の計算方法を確認しておく

相続人が誰であるかが判明した後は、どのように遺産を分けるかを話し合うことになりますが、話し合いにおいては、法定相続分での計算方法が参考とされるケースが多いです。
法定相続分での計算方法を確認しておくと、一人当たりどの程度の遺産が分配されるかイメージがつきやすくなります。

<参考>

  • 配偶者と子2人がいる場合:配偶者2分の1、子4分の1ずつ
  • 配偶者と直系尊属1人がいる場合:配偶者3分の2、直系尊属3分の1
  • 配偶者と兄弟姉妹1人がいる場合:配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1

遺産相続の順位と割合について

相続税が発生するかどうかを確認しておく

遺産総額が相続税の基礎控除額より多い場合は相続税が発生し、少ない場合は相続税は発生しません。
基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」という式で算出されるため、遺産総額と法定相続人の数が分かれば、相続税が発生するかが分かります。

例えば、遺産総額が5000万円、法定相続人の数が3人である場合、遺産総額5000万円>基礎控除額4800万円(=3000万円+600万円×3人)であるため、相続税が発生します。
この場合、期限内に遺産分割を完了すれば相続税が減額になる税制度が適用される場合があります。

このように相続税が発生するかを事前に確認しておくことで遺産分割の結果どうなるかについて具体的イメージが湧き、相続人間でのトラブルを避けられる可能性があります。

被相続人や他の相続人との関係性を保っておく

これまで紹介したようなトラブル回避策はあるものの、最も重要なのは、日頃から被相続人や他の相続人と良好な関係でいることです。
関係が良好であれば、例えば相続人の1人が遺産を隠しているのではないかという疑問や相続人の1人が被相続人をどのように介護してきたかについての疑いを持つことは少なくなるでしょう。
遺産分割協議に当たっては、自分の利益ばかり追求するのではなく、被相続人の意思を尊重して相続人全員で協力することが重要です。

遺産相続トラブルの解決事例

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