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遺産相続の順位と割合について誰がどのくらいの財産を相続するのか、具体的な家族構成と財産目録を設定し、解説します
遺産相続には、誰がどのくらい相続できるのか、優先順位が決まっています。
- 配偶者:常に相続人となる
- 第1順位:子
- 第2順位:子がいない場合の直系尊属(被相続人の父母や祖父母等)
- 第3順位:子も直系尊属もいない場合、被相続人の兄弟姉妹
大切なご家族が亡くなってしまったとき、誰が相続人(財産を引き継ぐ人)になるのか?また、どのくらいの割合になるのか? 様々なケースにおいて、誰がどのくらい相続できるのか、具体的な家族構成と財産目録を設定し、解説します。
家族構成
家族構成は、父、母、被相続人(亡くなった方)、被相続人の配偶者、兄、長男、長男の配偶者、長男の子供(孫)2人、二男、三男、三男の配偶者、三男の子供(孫)、の合計13人と設定します。
財産目録
被相続人の財産は下記とします。
財産 | 価値 | 備考 | |
---|---|---|---|
現預金 | 現金 | 500,000円 | |
預貯金 | 2000,000円 | ||
不動産 | 自宅 | 32,000,000円 | 土地建物 |
金融資産 | 株式 | 1,000,000円 | |
投資信託 | 3,200,000円 | ||
保険金 | 生命保険 | 5,000,000円 | 保険金受取人:配偶者 |
生命共済 | 1,600,000円 | 保険金受取人:配偶者 | |
財産総額 | 45,300,000円 |
相続人の順位のポイント
- 被相続人の配偶者は、必ず相続権が発生する。
- 父・母(尊属)は、子・孫(卑属)がいない場合に限り相続権が発生する。
- 兄は、父・母、子・孫がいない場合に限り相続権が発生する。
- 子の配偶者は相続人にはなれない。つまり、長男の配偶者、三男の配偶者は相続権が発生しない。
- 保険金受取人が死亡し、新たな受取人を指定していない場合、保険金は元の受取人の相続人が受取ることになります。この場合、法定相続割合に応じて受け取るのではなく、相続人の中で均等割りで受け取ることになります。
それでは具体的に見ていきましょう。
(1)被相続人以外、全員が生存している場合
配偶者が半分の遺産を相続し、残りの半分の遺産を生存している子(長男、二男、三男)の人数で等分します。被相続人の両親、兄、子の配偶者、孫に相続権は発生しません。
法定相続人と相続分
法定相続人 | 法定相続分 | 取得遺産価額 | 備考 |
---|---|---|---|
配偶者 | 1/2 | 19,350,000円 | 他に死亡保険金6,600,000円を取得※ |
長男 | 1/6 | 6,450,000円 | |
二男 | 1/6 | 6,450,000円 | |
三男 | 1/6 | 6,450,000円 |
死亡保険金は、保険契約により受取人が取得した固有の権利に基づくものであり、相続財産には含まれません
(2)被相続人の配偶者が死亡しており、3人の子が生存している場合
配偶者が亡くなっている場合、遺産を子の人数で等分します。この場合は、長男、二男、三男で3等分となります。被相続人の親、兄、子の配偶者、孫は対象になりません。
法定相続人と相続分
法定相続人 | 法定相続分 | 取得遺産価額 | 備考 |
---|---|---|---|
長男 | 1/3 | 15,100,000円 | 保険金受取人である配偶者が死亡し、新たな受取人を指定していない場合、死亡保険金6,600,000円も相続財産になり、元の受取人である配偶者の相続人である子供3人が均等割りで相続する |
二男 | 1/3 | 15,100,000円 | |
三男 | 1/3 | 15,100,000円 |
(3)被相続人の配偶者は生存しており、3人いる子のうち、2人の子を持つ長男が死亡している場合
配偶者が半分の遺産を相続し、残りのもう半分の遺産を子の人数で等分します。相続する予定だった長男が亡くなっていて、その長男に孫がいる場合、長男が相続する予定だった遺産については、その孫が代襲相続し、孫の人数で等分します。被相続人の親、兄、子の配偶者は対象になりません。
法定相続人と相続分
法定相続人 | 法定相続分 | 取得遺産価額 | 備考 |
---|---|---|---|
配偶者 | 1/2 | 19,350,000円 | 他に死亡保険金6,600,000円を取得※ |
二男 | 1/6 | 6,450,000円 | |
三男 | 1/6 | 6,450,000円 | |
孫 | 1/12 | 3,225,000円 | |
孫 | 1/12 | 3,225,000円 |
死亡保険金は、保険契約により受取人が取得した固有の権利に基づくものであり、相続財産には含まれません
(4)配偶者は生存。3人の子のうち、独身の二男が死亡している場合
配偶者が半分の遺産を相続し、残りのもう半分の遺産については、二男が亡くなっており、その二男に子供(被相続人にとっては孫)がいない場合には、長男、三男で等分します。被相続人の親、兄、子の配偶者、孫は対象になりません。
法定相続人と相続分
法定相続人 | 法定相続分 | 取得遺産価額 | 備考 |
---|---|---|---|
配偶者 | 1/2 | 19,350,000円 | 他に死亡保険金6,600,000円を取得※ |
長男 | 1/4 | 9,675,000円 | |
三男 | 1/4 | 9,675,000円 |
(5)被相続人の配偶者は生存。3人いる子のうち、1人の子を持つ三男が死亡している場合
配偶者が半分の遺産を相続し、残りのもう半分の遺産を子の人数で等分します。相続する予定だった三男が亡くなっていて、三男に孫がいる場合、三男が相続する予定だった遺産を、その孫が代襲相続します。被相続人の親、兄、子の配偶者は対象になりません。
法定相続人と相続分
法定相続人 | 法定相続分 | 取得遺産価額 | 備考 |
---|---|---|---|
配偶者 | 1/2 | 19,350,000円 | 他に死亡保険金6,600,000円を取得※ |
長男 | 1/6 | 6,450,000円 | |
二男 | 1/6 | 6,450,000円 | |
孫 | 1/6 | 6,450,000円 |
死亡保険金は、保険契約により受取人が取得した固有の権利に基づくものであり、相続財産には含まれません
(6)被相続人の配偶者は生存しているが、子は全員死亡している場合
配偶者が半分の遺産を相続し、残りのもう半分の遺産を代襲相続人である孫がいる子供の人数で等分します。長男が相続する予定だった遺産については、その孫が代襲相続し、孫の人数で等分します。三男が相続する予定だった遺産については、その孫が代襲相続します。被相続人の親、兄、子の配偶者は対象になりません。
法定相続人と相続分
法定相続人 | 法定相続分 | 取得遺産価額 | 備考 |
---|---|---|---|
配偶者 | 1/2 | 19,350,000円 | 他に死亡保険金6,600,000円を取得※ |
孫(長男の子供) | 1/8 | 6,450,000円 | |
孫(長男の子供) | 1/8 | 6,450,000円 | |
孫(三男の子供) | 1/4 | 6,450,000円 |
死亡保険金は、保険契約により受取人が取得した固有の権利に基づくものであり、相続財産には含まれません
(7)被相続人の子、孫が全員死亡、両親と配偶者が生存している場合
配偶者が2/3の遺産を相続し、残りの1/3の遺産を親が相続する権利があります。子・孫がいない場合のみ、親が相続する権利が発生します。被相続人の兄、子の配偶者は対象になりません。
法定相続人と相続分
法定相続人 | 法定相続分 | 取得遺産価額 | 備考 |
---|---|---|---|
配偶者 | 2/3 | 25,800,000円 | 他に死亡保険金6,600,000円を取得※ |
父 | 1/6 | 6,450,000円 | |
母 | 1/6 | 6,450,000円 |
死亡保険金は、保険契約により受取人が取得した固有の権利に基づくものであり、相続財産には含まれません
(8)被相続人の母、兄、子、孫が全員死亡、父と配偶者が生存している場合
配偶者が2/3の遺産を相続し、残りの1/3の遺産を親(父・母)が相続する権利があります。親が相続する権利が発生するのは、子・孫がいない場合のみです。被相続人の子の配偶者(長男、三男の配偶者)は対象になりません。
法定相続人と相続分
法定相続人 | 法定相続分 | 取得遺産価額 | 備考 |
---|---|---|---|
配偶者 | 2/3 | 25,800,000円 | 他に死亡保険金6,600,000円を取得※ |
父 | 1/3 | 12,900,000円 |
死亡保険金は、保険契約により受取人が取得した固有の権利に基づくものであり、相続財産には含まれません
(9)被相続人の両親、子、孫が全員死亡。配偶者と兄が生存している場合
配偶者が3/4の遺産を相続し、残りの1/4の遺産を兄弟が相続する権利があります。兄は、被相続人の親(父母)、子(長男、二男、三男)、孫(長男、三男の子)がいない場合に限り相続権が発生します。被相続人の子の配偶者は対象になりません。
法定相続人と相続分
法定相続人 | 法定相続分 | 取得遺産価額 | 備考 |
---|---|---|---|
配偶者 | 3/4 | 29,025,000円 | 他に死亡保険金6,600,000円を取得※ |
兄 | 1/4 | 9,675,000円 |
死亡保険金は、保険契約により受取人が取得した固有の権利に基づくものであり、相続財産には含まれません
(10)被相続人の配偶者、子、孫が全員死亡。両親と兄が生存している場合
被相続人の配偶者、子、孫が全員死亡しており、両親と兄が生存している場合は、両親(父母)が相続人となります。被相続人の兄弟(兄)、子の配偶者(長男、三男の配偶者)は対象になりません。
法定相続人と相続分
法定相続人 | 法定相続分 | 取得遺産価額 | 備考 |
---|---|---|---|
父 | 1/2 | 22,650,000円 | ※保険金受取人である配偶者が死亡し、新たな受取人を指定していない場合、死亡保険金6,600,000円は配偶者の相続人(配偶者の親が生存している場合は親、親は死亡しているが兄弟がいる場合は兄弟)が相続人の人数の均等割りで受け取ることになります。 |
母 | 1/2 | 22,650,000円 |