相続放棄・限定承認

相続放棄とは?手続きの流れや費用、注意点を解説

代表弁護士山田 冬樹
<監修者> 代表弁護士 山田 冬樹
平成最後の年に還暦を迎えました。還暦とは干支(十干十二支)が一巡し誕生年の干支に還ることを言います。一巡して元にもどったわけですが、さらに60年、新しい分野にも挑戦し続けていきたいと思います。

相続放棄とは

相続放棄とは、被相続人の遺産に対する相続権の「一切」を放棄することです。家庭裁判所に「相続放棄の申述書」を提出し、家庭裁判所がこれを受理することで初めて相続放棄は効果を生じます。相続放棄をすると、相続放棄をしなかった相続人だけで遺産を相続することになります。配偶者以外が相続する場合には相続順位というものがあり、配偶者、子が相続人となりますが、子がいなければ、父母が、父母がいなければ兄弟姉妹が相続することとなります。

ただし、例えば、子どもたちが「お母さん一人に相続してもらおう」として、相続放棄してしまうと、遺産が亡くなった方(被相続人)の兄弟姉妹にも行ってしまうので、注意が必要です。その場合、遺産分割協議で亡くなった方の妻だけが相続することにする必要があります。

なお、遺産分割協議で、全遺産を一人が相続し、他の相続人は一切相続しないという合意を作った場合、それが相続の放棄だと思っている方がおられますが、全くの誤解です。

マイナスの財産を考えて相続放棄する

相続財産というと、土地、建物、預金といったプラスの財産ばかり思い浮かべてしまいますが、借金、未払い家賃、未払い代金といった債務も「マイナスの財産」として、相続の対象となります。プラスの財産は欲しいけど、マイナス財産は放棄したいと思ってもそれはできません。相続するとなれば両方を相続する必要があります。

ですから、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も考えた上で、相続するか、相続放棄するかを決める必要があります。

限定承認とは

限定承認とは、相続によって得たプラス財産の限度において、被相続人の債務などのマイナスの財産を相続することをいいます。限定承認も家庭裁判所に「限定承認の申述書」を提出して行います。マイナス財産がどのくらいあるか不安だという場合に適した手続です。

相続放棄の手続きの流れ

1. 相続放棄の申述先

被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に「相続放棄の申述書」を提出する必要があります。被相続人の実際の住所と、住民票上の住所が違う場合は、住民票上の住所の裁判所に提出する必要があります。どの住所の場合、どの裁判所になるか、裁判所のホームページで調べてください。

2. 相続放棄の申述に必要な書類

相続放棄の申述書のほか次の書類が必要になります。

  • 申述書を出した人の戸籍謄本
  • 被相続人の戸籍謄本 (申述人と同一の戸籍の場合 不要)
  • 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
  • 申述書を出すのが孫の場合「父ないし母が既に死亡している」ことを、父母の場合「子や孫が既に死亡していること」を、祖父母の場合はさらに「父母が死亡していること」を、兄弟姉妹の場合は「子、孫、ひ孫がいないか死亡していること、父母、祖父母等が死亡していること」を証明する必要があるため、被相続人と縁が遠くなるほど、とらなければいけない戸籍簿も増えてきます。

相続放棄の申述書には、①被相続人の本籍・住所・氏名・死亡時の職業・死亡日、②申述書提出者の本籍・住所・氏名・職業、生年月日、③被相続人の死亡を知った日、④放棄の理由、⑤相続財産の概要(預金額、不動産の面積、負債額等)を記載する必要があります。

3. 相続放棄にかかる費用

相続放棄の申述書には800円の収入印紙を貼る必要があります(ただし、印紙に押印しないでください)。あわせて、84円切手4枚と10円切手4枚(合計376円分)も納付する必要があります。

相続放棄の注意点

相続放棄で注意すべき点は、被相続人のプラスの財産を一部でも処分してしまうことです。

財産処分の一例

  • 預金の引き出し
  • 名義変更
  • 売却

このような財産処分を行なってしまうと、相続を承認したものとみなされ(法定単純承認といいます)、相続放棄ができなくなってしまうので、注意が必要です。

財産処分と相続放棄についての最高裁判例

最高裁は、妻の遺産であった債権を、夫が取り立て回収した場合、回収で得た現金をいかように処置したか否かを判断することなく、法定単純承認したものといえるとして、相続放棄を認めませんでした。

ネット上では、預金を払い戻すだけでは法定単純承認に当たらないという見解をよく目にしますが、このような最高裁判例がある以上、預金の払い戻しは避けた方がいいでしょう。

遺産の現金を使って特定の債権者への債務を弁済することも、借金等のマイナス財産がプラスの財産を上回るときは、その債権者だけが債権を回収し、他の債権者は一部しか回収できないことになるので、法定単純承認とされる可能性があります。

例えば、生命保険の受取人が亡くなった方(被相続人)の妻になっていれば、その妻が受け取っても法定単純承認にはなりませんが、受取人が亡くなった方(被相続人)になっている場合は保険金が相続財産になるため、保険の受取が法定単純承認となる可能性があります。

相続放棄するにあたって、どうしたらいいかわからないときは、弁護士にご相談ください。

相続放棄の期間制限

相続放棄が認められる期間には制限があり、これを「熟慮期間」といいます。熟慮期間は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月」とされています。したがって、「被相続人の死亡」と、「自分が法律上相続人であること」の2つの事実を認識した時から熟慮期間が起算されることになります。子や父母が相続放棄したため、兄弟姉妹が相続するという場合は、子や父母が相続放棄したことを知った時から熟慮期間がスタートします。

マイナス財産とプラス財産のどちらが多いか分からず判断がつかないという場合は、家庭裁判所に申立をして、熟慮期間を3か月伸長(延長)してもらうことができます。相続放棄期間を延長した場合は、債権者から届いた催告書や支払い通知のコピーの提出も相続放棄の申述に必要なので、絶対捨てないようにしてください。

相続放棄の申述を弁護士に依頼する

相続放棄の申述代理人になれるのは、弁護士だけです。家庭裁判所によっては、申述をした後に、申述内容の詳細を確認するために書面(照会書)が送られてくることがあります。代理人が付いていれば、この対応も基本的に代理人が行ないます。

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