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遺産分割について(どんな方法で分けるの?)ここまでの項目がクリアになったら、いざ分割が始まります
相続人が複数いる場合、被相続人が死亡したことにより、その財産は相続人の共有の財産となります(民法898条)。その共有財産を相続人それぞれに分割する手続を、遺産分割といいます。
誰がどの財産をどれだけ相続するか、まずは、相続人全員で話し合って決めます。これを「遺産分割協議」といいます。相続人の一人でも欠けてしまうとその「遺産分割協議」は無効になりますので注意が必要です。
遺産分割の方法
分割方法は4通りあります。
指定分割
被相続人が、遺言で分割方法を指定する方法です。財産の全部または一部の分割の、どちらでも指定することができます(民法902条)。
協議分割
相続人全員で協議し、分割方法を決めることをいいます(民法907条)。遺言がない場合にこの方法による分割を行いますが、遺言があった場合でも相続人全員で協議し合意すれば、遺言に反した分割をすることも可能です。必ずしも遺産全部の分割である必要はなく、遺産の一部だけの協議分割も有効です。
遺産分割協議書
遺産分割協議がととのったときには「遺産分割協議書」を作成します。遺産分割協議書は、相続人間で分割の合意が成立したことを明確にするためにも重要です。相続人の数だけ同内容のものを作成し、各自1通ずつ所持します。
遺産分割協議書の書き方に、用紙サイズ、縦書横書の別等、特に決まりはありません。必要なのは、誰がどの遺産を承継するかを明記すること、相続人全員で署名捺印(実印)をすることです。
遺産分割協議書は、相続税の申告(相続開始を知った日(通常は、被相続人の死亡日)から10ヶ月以内)、不動産登記及び銀行口座等の各種名義変更(解約) に必要になることがあるので、不動産については登記簿上の記載どおり、預貯金は金融機関の口座番号等まで詳細に記載しましょう。
調停分割
相続人間での協議がととのわなかった場合、家庭裁判所に申し立てて、調停による分割を行うことができます(家事事件手続法244条~)。
調停は、調停委員等の第三者を含めた話し合いの場であり、当事者双方から事情を聴いたり、必要に応じて資料等を提出してもらったりする等して事情をよく把握したうえで、調停委員等が 解決案を提示したり、必要な助言をし、合意による解決を目指し話合いが進められます。話し合いがまとまらない場合には、調停が成立しない(不調)こともあります。
審判分割
審判手続で必要な審理が行われた上、審判によって結論が示されることになります(民法907条2項)。裁判官が、当事者から提出された書類や調査の結果等種々の資料に基づいて判断し決定をします。
遺産の具体的な分け方
実際は、現物を相続分通りに分けることが現実的でない、不動産のような遺産もあります。不動産の分けるには、「現物分割」、「代償分割」、「換価分割」の3つの分け方があります。たとえば父親が亡くなって、妻と子供二人が残った場合で考えてみましょう。
現物分割
財産が家しかなければ、子供たちが母親に「僕らはいいから、母さん住み続けてよ」と申し出ることがあると思います。このように遺産を現物で分けることを「現物分割(げんぶつぶんかつ)」と言います。
代償分割
この現物分割で、子供が納得しない場合、家に4000万円の価値があるとしたら、妻は2000万円分、子供はそれぞれ1000万円分の取り分がありますので、子供の取り分を、妻が現金(子供の取り分にあたる代償として)で渡して解決する、という分け方を「代償分割(だいしょうぶんかつ)」といいます。
換価分割
妻が、子に渡すお金を用意するのが難しい場合は、唯一の遺産である家を売って現金に換え、それを分ける、これを「換価分割(かんかぶんかつ)」といいます。
話し合いで解決しない場合は
相続人同士で話してみると、相続人の中には、自分には自宅があるので不動産はいらないので、現金だけほしいという相続人がいたり、相続人全員が納得するように分けるのはなかなか難しいでしょう。
お互いに譲歩し合って話がまとまればよいのですが、どうしても話がまとまらない場合は、家庭裁判所で調停をします。さらに、調停でも解決しない場合は、裁判所の審判により、最終的な結論が下されます。
法定相続分と異なる割合を定める場合
次の場合、法定相続分と異なる割合を定めることも可能です。
- 遺言で定める場合 被相続人は、遺言で、法定相続分と異なる割合を定めることができます(指定分割といいます)。
- 相続人全員で定める場合 遺言がない場合、相続人全員の話し合いで、法定相続分と異なる割合を定めることができます。

- 1954年 東京都出身
- 1978年 中央大学法学部卒業
- 1987年 弁護士登録(登録番号:20255)
- 2008年 法律事務所ホームワン開所
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