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贈与契約書/生前贈与契約 ひな形
贈与契約とは、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、成立する契約です(民法549条)。
贈与契約は口頭だけで成立するものですから、贈与契約書を作らなくても契約の効力自体は生じます。
ただし、贈与契約は、財産を与える側にのみ負担があるものなので、軽率な贈与を予防し、贈与者の意思を明確にして後日の紛争を避けるために、書面を作成することが望ましいと考えられており、法律上も、書面によらない贈与は解除することができるとされています(民法550条)。
ところで、親子間での贈与の場合、他人に贈与するのとは違い、お互いに信頼関係が十分にあることから、あえて贈与契約書を作成しないことが多いと思われます。
しかし、実際には贈与契約書を作成していなかったために、後日トラブルになるケースが多々あります。
ここでは、贈与契約書を作成する必要性や作成のポイントを、贈与契約書のひな形を元にご説明します。
1 贈与契約書を作成する目的
贈与契約書を作成する目的は、贈与の意思を外部に明確に示すことで、後のトラブルを避けることにあります。
例えば、相続税対策として親が子に生前贈与を行なう場合、単に親が子の銀行口座にお金を振り込んだだけでは「子の名義を借りただけで、実質的には親の預金である」とみなされるおそれがあり、相続税の課税対象となるおそれがあります。
そのため、親と子との間で贈与が行なわれたことを明確に書面にして残しておくことが重要になります。
2 贈与契約書を作成する際のポイント
贈与契約書を作成するにあたっては、①いつ、②誰が・誰に、③なにを・どれくらい・どのようにして贈与するかを明確にしましょう。
贈与契約書のひな形自体は次に示しているとおりですが、実際に使用するにあたって注意しなければならない点を続けて説明します。
①いつ贈与するか
贈与契約書の中に、いつ贈与するかを明記しておきましょう。
贈与にあたっては、銀行振込により通帳に記録するなど、客観的に証明できるようにしておくことも大事です。
例えば、贈与契約書に記載されている日付と通帳の振込日が同じであれば、贈与契約書の内容が正しいことを示すことができます。
②誰が・誰に贈与するのか
贈与者は財産を与える方、受贈者は財産を受ける方を指します。
親が子に生前贈与する場合、親が贈与者で、子が受贈者になります。
その場合、贈与者の欄に親が、受贈者の欄に子が、それぞれ署名捺印します。
③なにを・どれくらい・どのようにして、贈与するか
贈与する財産の内容(現金・預貯金・不動産・株式など)や、その金額・数量、贈与の方法を具体的に記載しましょう。
贈与財産が不明確であると、後のトラブルにつながります。
誰が見ても分かるように、できる限り詳しく記載するのがよいでしょう。
3 その他の注意事項
署名と捺印について
贈与契約書には、それぞれ自筆で署名し、実印で捺印するようにしましょう。
パソコンで名前を入力して印刷し、三文判を押しただけでは、勝手に作ったのではないかという疑いをかけられるおそれがあります。
収入印紙について
不動産以外の財産(現金や株式など)を贈与する場合、贈与契約書に収入印紙を貼る必要はありません。
不動産を贈与する場合、具体的な金額を記載しないのであれば、200円の収入印紙を貼れば済みます。
もし不動産の具体的な金額を記載した場合、その金額に応じた収入印紙の貼付が必要になります。
なお、贈与契約書に収入印紙を貼らなければならない場合に、そのことを忘れて収入印紙を貼らずに贈与契約書を作成してしまったとしても、贈与契約が無効になることはありません。
収入印紙はあくまでも税金の問題なので、贈与契約自体に影響を及ぼすことはないからです。
生前贈与のタイミングについて
生前贈与は相続税対策として行われることがありますが、相続人に生前贈与してから3年以内に被相続人が亡くなると、贈与した財産について相続財産であると判断されることがあります。
これは被相続人が亡くなる直前の相続税対策のための駆け込み贈与に対する対策として定められたものです。
相続財産と判断されれば、生前贈与をしていたとしても、相続税の課税対象になる場合がありますので、注意が必要です。
生前贈与をしようと考えたら、早めに準備を進めておくことをお勧めします。
以上のようなことに注意しながら、贈与契約書のひな形をぜひご活用ください。