文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/537回テーマ 「相続法・遺言の新しい遺し方」編 2019年07月23日

代表の中原です。

今週の『くにまるジャパン極』では、相続に関する法律が変わって、遺言について選択肢が広がったというお話をしてきました。主に、自筆証書遺言、つまり自分で紙に書いて遺す遺言の変更箇所についてのお話です。

ポイントを絞ると2つあって、1つは、遺言書に財産の目録を添付する際、自分で手書きしなくても良くなったことです。これまでは、遺産となる財産を遺言の中で示す場合は、すべて自分で手書きする必要がありました。しかし、これでは財産が多い場合、全部書くのは大変ですし、誤りがないよう正確に書くのも難しくなってきます。そこで、もっと簡単に遺言を書いてもらおうという趣旨から、遺言に添付する目録は自筆でなくてもいい、と言う事になりました。例えば、パソコンで作成してもいいですし、代筆を頼むことも可能です。また不動産の登記簿や銀行通帳の写し等を財産目録として付け加えることができるようになりました。ただ目録にはページ毎に署名と押印が必要になりますので注意が必要です。

2つ目は、これまでは自筆の遺言は自分で保管する必要がありましたが、来年7月10日以降は、国の機関である法務局で保管してもらえるようになりました。自分で保管していると、せっかく書いても見つけてもらえなかったり、災害で失われたり、改ざんされたり、捨てられたり…という可能性もあります。法務局に預ければ、安全・確実です。

国の期間で保管できるという点では、公証役場で作る公正証書遺言もあります。ただこちらは、安くはない費用がかかり、また公証役場に行って証人2人の立ち会いのもと、作成する必要があります。そこで事前に遺言の内容を役場に伝えたり、証人の都合を調整する等、けっこう面倒なことが多くありました。それが、法改正によって、遺言を残す方だけの関与で安全に保管できるようになるため、自分で書く遺言が利用しやすくなったと言えるかと思います。

保管された後でも、後で気になるところが出てきたら、預けた本人に限り、閲覧を求めたり、保管を撤回してもらうことも可能です。実際に相続が発生したら、相続人の方は遺言が保管されているか、最寄りの法務局に問い合わせ、有る無しの結果を書面で貰ったり、遺言があれば現地の法務局で原本を見られるようになります。

また、自筆証書遺言の場合、裁判所で検認という遺言の状態を確認する手続きが必要ですが、この法務局での保管を利用すれば、検認手続きも不要になります。実際に使えるようになるのは1年先ですが、財産を把握して目録にする作業は,意外に時間がかかる場合もあるので、今のうちから始めれば、制度のスタートまでにきちんと遺言を準備できるのではないでしょうか。

自分で書く遺言は自由度が高いですし、かつ簡単に、いつでも作成できるなどのメリットもある制度です。ただ、肝心なのは遺言の中身なので、何をどう書けばいいかがわからないという時は、ぜひお気軽にご相談戴ければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇537回テーマ
 「相続法・遺言の新しい遺し方」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士

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