文化放送『くにまる食堂』に中原俊明弁護士が出演/711回テーマ 「相続手続と期限」編 2022年12月15日

弁護士の中原です。

今回は「相続の手続と期限」というテーマでお話してきました。大切な家族が亡くなって悲しい時間を過ごす中でも、直面しなければならないのがこの問題です。亡くなられた方が遺言書を遺さず、相続人が複数いる場合は、相続人の間で遺産をどう分けるかという話し合い、いわゆる「遺産分割協議」を行なう必要があります。亡くなってから何日以内にやらなきゃいけない、という決まりは特に設けられていませんが、相続税の申告が必要な場合は、タイムリミットがあります。相続税には、基礎控除というものがあって、この金額を超えると申告が必要になってくるのです。

基礎控除額は、3000万円+600万円×相続人の人数、となります。たとえば、相続人が3人いたら、600×3=1800万円、3000万をプラスして4800万円が基礎控除の金額となります。遺産総額が、基礎控除額を超えるようであれば、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に、相続税の申告を行なう必要があります。

もし、期限内に遺産分割協議が纏まらない場合は、ひとまず法定相続分で相続したものとして申告を行なうこともできますが、このままだと「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地の特例」といった、税金の軽減制度を利用することができません。そのため、法定相続分で相続したものとして申告するのと一緒に、「相続税の申告書の提出期限から3年以内に分割する旨の届出手続」というのをしておいて、その3年以内に遺産分割協議が纏まれば、税金の軽減制度を利用することができます。また、分割協議によって相続する分が、法定相続分より増減して、申告時より税金の額が増える場合は「修正申告」、減る場合は「更正の請求」という手続ができます。

現状では、遺産が控除の範囲内なら、焦って協議を行なう必要もないのですが、再来年の4月1日から、不動産について、相続登記が義務化されることになったので、相続財産に、土地や建物など不動産があると知ったときから、3年以内に相続登記を行なう必要が出てきます。3年以内に分割協議が纏まらない場合は、法務局に、相続が開始されたことと、自分が相続人であること、を申請すれば、義務を履行したとみなされる制度が設けられることになっています。ただし、これは一時的なものなので、分割協議が纏ったら、3年以内に名義変更の登記を行なう必要があります。

遺産分割協議が早めにまとまれば、手間は少なく済みますが、実は纏まらないどころか、協議そのものが行なわれていない、というケースが結構多いのです。遺産分割協議が行われないまま、さらに、別の相続が発生すると、相続人が増えますので、手続が何倍にも面倒になります。これまでは、相続登記が義務でなかったため、所有者不明の土地が増加しており、平成28年の調査時でも410万ヘクタール、九州を越える面積の土地が所有者不明になっているのです。

遺産分割協議は、そのときは面倒でも、後々のことを考えると、早めに行なうこと、また、遺産分割協議が纏まらない場合は、専門家への相談をお勧めします。

◇日時
毎週火曜 11:31~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまる食堂』
◇コーナー名
 「日替わりランチ ホームワン法律相談室」
◇711回テーマ
 「相続手続と期限」
◇出演
番組パーソナリティ 野村邦丸さん 
法律事務所ホームワン 中原俊明弁護士


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