文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/541回テーマ 「遺留分についての法改正」編 2019年08月23日

弁護士の中原です。

中小企業を営んでいる方で、ご自身が亡くなった後の会社の存続について悩んでいることも多いかと思います。そこで、今週の『くにまるジャパン極』では、何人かお子さんがいる場合、特定の一人だけに財産を集中して残すことができるか、というテーマで、法改正についてお話しました。

中小企業の創業者などの場合、会社の建物や株式など、関連した自分名義の財産を全部、自身が生きているうちに、跡継ぎのお子さんに贈与して、スムーズに引き継ぎたいと考えている方もいらっしゃると思います。
ただ、法律で決められた取り分「遺留分」というものがあり、最低でも、民法で定められている法定相続分の半分を受け取る権利があります。そのため、もし他の相続人から遺留分を請求されてしまうと、せっかく贈与した財産も特定の一人だけのものということにはならなくなってしまいます。会社経営から考えると、株式とか工場の設備といったものが、経営に無関係な人たちに散らばってしまうのはよくはありません。そこでこの7月から、遺留分に関する法律が少し変わり、事業継承を円滑におこなうために、財産そのものは跡継ぎの一人に集中させるかわり、遺留分に足りない部分は金銭で解決できることになりました。

また、今回の法改正では、もう一つ、遺留分の請求できる範囲についての変更がありました。これまでは、親から、事業を営むのに必要な財産を贈与された、あるいは結婚する時マンションの購入資金を出してもらった、といった場合、それが何十年前の事だったとしても、遡って遺留分の計算に含めなければいけませんでした。これが、法律が改正されたことによって、親が亡くなった時点から、10年以上前の贈与は、原則として遺留分の計算に含めなくてもいい、ということになりました。
ただ、贈与するときに、ほかの子どもたちに残る財産が少なくなって、遺留分が足りなくなると分かっていたにも関わらず、大部分の財産を贈与してしまったというようなケースであれば、10年以上前の贈与についても遺留分の請求が出来るかもしれません。とはいえ、その当時、他の子どもたちの遺留分が足りなくなるかどうかなんて正確にはわからないでしょうし、それを証明するのは難しいと思います。今回の改正で遺留分を請求できる場面が少なくなったことは確かです。

最後に、今回の改正と無関係なところですが、遺留分の請求にはタイムリミットがあるということをご紹介します。遺留分の請求期限は、親が亡くなった後、生前贈与や遺言によって、自分の遺留分が侵害されていると知った時から、1年以内。知らなかった時でも、亡くなってから10年以内に請求しなければ権利は消えてしまいます。遺留分の話は、けっこう難しくて専門的なところもありますから、ぜひお早めにホームワンにご相談いただければと思います。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇541回テーマ
 「遺留分についての法改正」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士

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