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文化放送『くにまるジャパン 極』に中原俊明代表弁護士が出演/550回テーマ 「遺産の範囲」編 2019年10月25日
代表の中原です。
今週の『くにまるジャパン極』では、「遺産の範囲」というテーマでお話しました。遺産と聞いて思いつくのは現金、預金、株式、不動産などかと思います。これらは全て「プラスの財産」になりますが、遺産には、実は「マイナスの財産」も含まれます。例えば、銀行からの借り入れ、残債があれば住宅ローンなども遺産になるわけです。また、多くの場合、相続人の間で遺産分割協議を行って遺産を分けていくことになりますが、まとまらなければ、家庭裁判所で調停、それでも不調なら裁判所の審判へと進んでいきます。この手続きが進んでいく中で、分割の対象となる遺産の範囲が変わってくることがあります。
協議や調停の場面では、相続人全員が合意であれば、プラスの財産はもちろんマイナスの財産、先ほどの負債や、葬儀費用といったものも分割の対象とすることができます。審判まで進んでしまうと、負債や葬儀費用等のマイナスの遺産は、相続人が合意していても、分割の対象とはなりません。また、負債に関しては、相続人が合意して分割しても、債権者との関係では法定相続分に従って各相続人が相続する、という形になるので注意してください。
例えば、亡くなられた方に100万の借金があった場合、二人の兄弟が相続人で、兄が全額負担する取り決めをしても、法律的には二人が50万ずつ借金を引き継ぐことになって、弟が債権者から50万円を支払うように言われたら、拒否することはできないということです。
また、プラスの財産が全て分割の対象になるかと言えば、それも違います。例えば、金銭債権も、相続人全員の合意がなければ分割の対象にはなりません。これは亡くなられた方が誰かにお金を貸していたとか、貸金業者から受け取れるはずの過払い金、交通事故の損害賠償金といったものです。以前は預貯金も「金融機関に対し払戻しを請求できる権利」として金銭債権の一種と考えられていましたが、最高裁判所の判断で現在では遺産分割の対象となっています。
遺産分割の対象も、今回あった相続法の改正で変わってきています。相続人全員の合意がなくても、当然に遺産分割の対象となるのは、①亡くなられた方が死亡時(相続開始時)に所有し、②現在(分割時)も存在する、③未分割の、④プラスの財産です。例えば、死亡時に1000万円の預金があったものの、分割前に全額が引き出されてしまい、現在の残高は0円という場合、現時点では分けるべきものがないので、1000万円の預金は遺産分割の対象にならないとされてきました。
この場合、以前は、遺産分割手続き外の民事訴訟等で損害賠償を求めたりする必要がありましたが、法改正によって、今後は、全ての相続人が同意すれば、引き出された預金も、「遺産」とみなされることになりました。また今お話ししたようなケースの場合は、1000万円を使ってしまった人以外の相続人が同意すれば、「遺産」として分割の対象に含めることができるようになりました。つまり、訴訟を起こさなくても、それは引き出してしまった人が遺産を先取りした形にして、残りの遺産を分けられることになります。
まずは遺産の範囲が決まらないと相続もできないと思いますが、決めるのにもいろいろ専門的な知識が必要になる場合があります。ぜひホームワンにご相談ください。
【出演情報】
◇日時
毎週火曜 9:45~
◇放送局
文化放送(関東エリア)
◇番組名
『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇550回テーマ
「遺産の範囲」
◇出演
番組パーソナリティ 野村邦丸さん
番組火曜日パートナー 西川文野さん
法律事務所ホームワン 中原俊明 代表弁護士
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