文化放送『くにまるジャパン 極』に山田冬樹代表弁護士が出演/551回テーマ 「株式と相続」編 2019年11月01日

代表の山田です。

今週の『くにまるジャパン極』では、「株式と相続」というテーマでお話しました。亡くなられた方が株式を持っていたのは知っていても、どこの会社の株式をもっていたのかは分からないという場合、金庫などを調べて株券があるかどうか探すしかないとお考えの方もいるかと思います。

実は、現在、「株券」はすべて単なる紙切れでしかありません。平成15年にできた「社債、株式等の振替に関する法律」により、平成21年1月5日に、上場企業の株券は全て無効となりました。また、亡くなった方の預金通帳を見たら、証券会社から配当金が入金されていて、遺産に株式のあることがわかったりもします。ただ、相続人同士でもめている場合、誰かが預金通帳を隠してほかの相続人に見せないことも往々にしてありますし、そもそも配当金のない会社もありますので、この方法も万全というわけではありません。

そのため、株式会社証券保管振替機構、通称「ほふり」に問い合わせる必要があります。この会社は株主の情報データを管理していますので、亡くなった方が何かしら株を持っていたか、持っていたとしたら、どこの証券会社が管理していたか…という最低限の情報を知ることはできます。それ以上の詳しい情報は、株式を管理している証券会社、あるいは信託銀行が管理していることもあるので、そちらに問い合わせることになります。この照会手続きは、相続人全員の同意を取る必要はなく、相続人であることを証明すれば可能です。

無事に株式が見つかったとして、株式を相続する時には税金の問題にも気を付けないといけません。もし、購入当時より株価が上がっていた場合、その分が利益となって、税金が引かれてしまうからです。
例えば、株を買った当時の価格が30万円で、今が100万円に上がっていたような場合、70万円儲かっているじゃないかということで、70万円に20%、すなわち14万円の税金が引かれてしまうため、86万円にしかなりません。また、購入時期が古く、買った時の値段がわからない場合は、現在の値段の5%、5万円で買ったものと、税務署はみなします。つまり、現在100万ならその5%、5万円で買ったことにされて、95万円儲かったのだから20%の19万円を税金として払いなさいということになってしまいます。

また、オーナー経営者で未上場の株式を100%持っていて、それが遺産の大部分を占めているような場合には他にも色々と注意すべき点があります。まず、遺産分割協議が話し合いでまとまらず、裁判に持ち込まれたら、裁判所が選んだ公認会計士が株価を鑑定することになりますが、高くつきます。100万単位の経費がかかることもあるので、できれば何とか話し合いで片付けたいところです。また、中小企業の場合、株主イコール経営者ですから、誰が相続してもいいというわけではありません。相続人の中で会社経営にタッチしている人がいれば、その人が相続した方が、会社にとってもプラスです。ただ、そのことで遺産をほぼ独り占めする形になってしまうと、他の相続人の方に現金を支払う必要が出てきます。しかし、株式の評価が多額になってくると、その現金を用意できないこともあります。

経営者の方は亡くなられる前に、息子さんに払う役員賞与の一部を使って株式を買わせたり、遺言を書いたりといった生前の相続対策が不可避になってくるでしょう。相続のことでお悩みの方は、ぜひホームワンまでご相談下さい。

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送(関東エリア)
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇551回テーマ
 「株式と相続」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 山田冬樹 代表弁護士

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