文化放送『くにまるジャパン 極』に山田冬樹代表弁護士が出演/633回テーマ 「相続と生命保険」編 2021年06月01日

弁護士の山田です。

今週の『くにまるジャパン極』では、生命保険の保険金受取人は誰か、というお話をしました。たとえば、ある女性が亡くなられて、生命保険を調べてみたら、女性よりも前に亡くなっていた長女が受取人に指定されていた場合、その長女が生前、結婚していて、子どもが二人いて、旦那が存命であれば、その旦那と子ども二人がそれぞれ3分の1ずつ、保険金を受け取ることができます。

これは、遺産相続と違うところで、二人の子どもから見て考えると、亡くなられた「祖母」の財産は、父には行かず、子どもたちだけに相続の権利があるんですが、保険金の場合、相続とは別に「生命保険契約」という契約の効果として支払われるものなので、父も保険金を受け取ることができます。つまり、相続だと、妻が亡くなった場合,配偶者である夫が半分、残りを子どもが等分になりますが、保険金の場合は平等の3分の1ずつになります。

「保険法」という法律では「保険金受取人が保険事故の発生前に死亡したときは、その相続人の全員が保険金受取人となる」という規定があります。ここには割合は書いてありませんが、最高裁判所で、この保険法の解釈として「相続人が均等に受け取るべき」という判決が出ています。

受取人の欄に個人の名前は書かずに、「相続人」とだけ書いてあることがよくあります。この場合、たとえば相続人が配偶者と二人のお子さんだったとしたら、通常の相続とおなじく相続分に応じて分けなさいというのが最高裁の判例です。ですから、配偶者が半分、残りの半分を二人のお子さんが4分の1ずつ分けることになります。亡くなられた方が何を考えて「相続人」と書いたのかと考えた場合、おそらく、保険金も他の遺産と同様に分割されるだろうという前提で、そう書いていたのだろうと思われんです。ですから、その意思を尊重し、保険金も相続割合に応じて分けなさいということになります。

ただ人生のステージが進むにつれて、「相続人」は親から配偶者、子ども、孫…と変っていくもので、保険加入の時点で、誰が相続人になるかはわからないものです。受取人の欄に「相続人」と書いた方にしても、ご自分が亡くなられた時点での「相続人」に、保険金を渡そうとした、と考えるのが自然だと思います。最高裁の判断でも、亡くなったときの相続人が保険金を受け取れるとなっています。ただ保険の場合、基本的には保険会社がトラブル回避のため、具体的な名前を書くよう求めるので、あまり事件にはなりません。受取人をどう記載するかは、保険会社とよく相談して下さい。

これまでの話を聞いて、面倒だから預金にしておけばいいじゃないか、と考える方がいるかもしれません。しかし、生命保険は、預金と違って、遺産分割協議をしなくてもすぐに支払が受けられるという大きなメリットがあります。預金だけだと、葬儀費用とか急場の費用に対応できないことがあるので、ご注意ください。  

【出演情報】
◇日時
 毎週火曜 9:45~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまるジャパン極』
◇コーナー名
 「得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室」
◇633回テーマ
「相続と生命保険」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 番組火曜日パートナー 西川文野さん
 法律事務所ホームワン 山田冬樹弁護士

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