文化放送『くにまる食堂』に中原俊明代表弁護士が出演/687回テーマ 「特別寄与料の制度について」編 2022年06月28日

弁護士の中原です。

今回は、相続問題のなかから「特別寄与料制度」についてお話ししてきました。

例えば、夫に先立たれた妻が、夫が亡くなった後も長い間、同居していた夫の父親の介護を献身的に続けていたとします。このような状況で夫の父親が亡くなった場合でも、その妻は相続人ではないので、夫の父親の財産は、すべて亡くなった夫の兄弟が相続することになり、夫の父親の介護をしてきた妻は、1円も貰えないことになってしまいます。そのような問題を解決するために、4年前の民法改正で「特別寄与料」という制度ができました。

どのような制度かというと、まず、請求できる人は「被相続人の親族」に限られます。親族というのは「6親等内の血族」と「3親等内の姻族」と法律で定められていますので、「いとこの孫」や「妻の姪・甥」といった人まで含まれます。当然、その妻は1親等の姻族なので、当然権利があります。ただし、この手続きは、元々、権利のある相続人、そして相続放棄をした人は、請求できないことになっています。

次に、被相続人(亡くなられた方)に対して、無償で療養看護、その他の労務を提供したこと、その労務の提供によって被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をしたことが必要とされています。相続人の寄与分にも、療養看護によって被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与をした場合、  「寄与分」が認められることがあり、たとえば被相続人に対して毎月生活費を仕送りしていた場合なども「寄与分」が認められる可能性があります。しかし、「特別寄与料」は、実際の療養看護の場合に限られるので、違いを理解する必要があります。

実際、どれくらい献身的に看護すれば特別の寄与になるか、ですが、この制度はまだスタートして間がないので、裁判例も少なく、具体的な運用例も定まっていない状況です。しかし、去年7月、静岡家庭裁判所で出された審判によると、「月に数回程度、被相続人の入院先などを訪れて診察や入院に立ち会ったり、手続書類を作成したり、身元の引き受けをしたり…といった程度の労務の提供では特別の寄与があったとは言えない」とされていますので、これが参考にすると、『同居あるいはもっと日常的な介護が必要』となりそうです。

具体的な請求方法として、相続人に対して寄与に応じた金銭の請求を行い、当事者間で協議して金額を決める、ということになっています。そこでまとまらなければ、家庭裁判所に対して、協議に代わる処分を請求することができるとされていて、そのため最終的には家庭裁判所が寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額、その他一切の事情を考慮したうえで金額を決めることになります。

請求期限は、相続の開始及び相続人を知った時から6か月、または、相続開始の時から1年以内、となっており、かなり短いので、特別寄与料の請求を考えている方は、早めに専門家にご相談することをお勧めします。

◇日時
 毎週火曜 11:31~
◇放送局
 文化放送
◇番組名
 『くにまる食堂』
◇コーナー名
 「日替わりランチ ホームワン法律相談室」
◇687回テーマ
「特別寄与料の制度について」
◇出演
 番組パーソナリティ 野村邦丸さん
 法律事務所ホームワン 中原俊明弁護士

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